あなたとの共通点



「あ、参謀さんなのね〜」


後ろからふざけた口調の声が聞こえる。
その方向に振り向くと、最近軍に加入した人物が居た。


「あなたは確か…ダラハウさん」
「そうなの〜、覚えてくれてて嬉しいのね〜」
「…何か用ですか?」


今我々は、少しでも早く母国クリミアを取り戻 さなければならない状況にある。
用も無い人間と話すのは、はっきり言って時間の無駄だ。


「そんな悲しい事言わないでほしいの〜。ダラハウは参謀さんに質問したいだけなのね〜」
「質問…ですか」
「そうなの〜。ねぇ、あれを見てなのね!」
「?」


彼が指差す先には小綺麗に咲いた野花だった。
それは何処にでもある風景だし、珍しい薬草が生えてるわけでもない。


「参謀さんはあれを見てどんな感じ〜?」
「別にどうも感じませんよ」
「う〜ん、本当にに何も感じないの?」
「しつこい方ですね、そんな事を訊く為に僕を呼び止めたんですか?」
「そんな事言わないでなの〜。ダラハウ悲しいのね〜」


彼はそう言って、身体をくねらせながらあの苛立たしい口調で責めてくる。

思わぬ所で時間を浪費してしまった。
遅れを取り戻すべく立ち去ろうとすると、後ろから不気味な声が響いた。


「参謀さんも悲しいのね〜、団長さんと一緒なのね〜!」
「…アイクと?」


アイクの名を聞いて、思わず振り向いてしまった。
それに反応して彼はまた喋りだす。


「そうなのよ〜。団長さんにも同じ様な事を言われたのね〜」
「あ、当たり前です…今の僕達には花を眺める余裕なんかありませんから」
「あ〜!また団長さんと同じ事言う!それじゃダメなのね〜」


心に余裕が無いと戦に勝てないのね〜等と彼はほざいているが、今はそんな事どうだって良い。

アイクが自分と同じ事を言っていた、それだけで心が躍ってしまう。
鼓動が早くなる。身体中が熱くなる。


「…今の参謀さん、とても嬉しそうなのね」
「えっ?」
「やっぱり参謀さんは団長さんがだいすきなのね〜!」
「かっ、からかわないでください!…僕はもう失礼します!」
「さよならなのね〜」


どうしてあんな人ごときに自分の気持ちを指摘されなければならないのだろうか。
彼の姿が見えなくなったのを確認して、誰にも聞こえないようにこっそり呟いた。


「アイク…僕はあなたと共通した部分を持てて嬉しいのね…」


あの口調がうつってしまった事に気付くには、数十秒の時を要した。




アイク×セネリオ風味。
蒼炎17章拠点会話のセネver.


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