漢の勲章



+前説+
この小話は、数年前にナルヒコ氏とハニーさんが、同じ店で働いていたという設定の元で書いています。
2人は、サンパウロ容子が経営するクラブで働いてました。
当時ナルヒコ&ハニーは24歳、サンパウロは29歳ですた。
それでは拙いですが、小話をお楽しみ下さいませ。















ネオンの光が輝く夜の繁華街。
そこの片隅にある小さなクラブで、2人の男が言い争いをしてました…

「…だからハニー。この店で、いやこの街で一番美しいのは僕だと言ってるだろう!」
「それは違うわ。確かにナルヒコは綺麗だけど…最も美しいのは私よっ!」
「何だって?」
「やるの?」
「アンタ達っ!見苦しいからやめなさい」
「「容子さん!」」

ナルヒコとハニーの喧嘩を止めたのは、店主のサンパウロ容子。
含みのある表情で、更に一言付け足す。

「そんなに一番を決めたいなら、勝負でもしたら良いじゃない」
「「勝負?」」
「お客への見せ物にもなるし、丁度良いわ。うん、3本勝負で2本先取した方が勝ちにしましょう」

容子が着々と話を進める中、当事者の2人は闘志の炎をめらめらと燃やしていた。

「いくらあなた相手でも、私は容赦しないわよ…」
「僕だって、勝負の手は抜かないさ…」
「フフフフフ…」
「ハハハハハ…」

かくして小さなクラブの中で、壮絶な勝負の火蓋が切って落とされた…






〜あらすじ〜
ひょんな事から喧嘩を始めてしまったナルヒコ様とハニー様。
サンパウロ容子の提案で、お2人は勝負をする事になったのです(大奥風に)

「ふざけたあらすじも済んだ事だし、1回戦始めるわよ」
「ふざけたって…アンタがやってたんでしょうが」
「うっさいナルヒコ」
「容子さぁん、1回戦って何するんですかぁ?」
「ふっ…コレよ」

容子が手を示す先には、何故かアームレスリング用のテーブルがあった。

「1回戦は筋肉の美しさを競う、腕相撲対決よ」
「ハハハ、体重も筋力も僕の方が上。この対決、もらった!」
「くっ…不利なのは確かねえ」

2人は席に着き、腕相撲の体勢に入った。

「それじゃ始めるわよ。Leady…Go!」
「はああぁぁぁっ!!」
「っ…こんの馬鹿力…!」
「君もなかなかじゃないか、ハニー」

当初の予想通りナルヒコが押しているが、今の所は互角だ。
しかし長期戦に持ち込まれると、体重と筋力の差は大きくなる。

「こ、こうなったら奥の手よ…!」
「ハン…何をしたって無駄さ」
「そうかしら…ねえ、鳴人?」
「…っ!?」

次の瞬間、ナルヒコの腕の力が抜けた。
その隙を見逃さなかったハニーは、一気にナルヒコの腕を押し倒した。

「勝負あり!ハニーの勝ちよ」
「ちょっ…コレは反則だ!」
「別に言葉の攻撃をしちゃいけないってルールは無いですよね?」
「まあ、一種の心理作戦だから…良いかしら」
「という事で、おとなしく負けを認めなさい」
「くそっ!本名で呼ぶのは卑怯だろ」
「ホホホ、何とでも言いなさい」

ハニーの高笑いが店内に響く中、次の戦いのゴングが鳴らされた…






「何だ何だ、祭りか?」
「あら、神様いらっしゃい。丁度良い所に来てくれたわ」
「へ?」
「さあさ、中に入って入って!」

たまたま通りかかった神は、容子に半ば無理矢理連れ込まれた
そんな彼の目の前には、やたら戦意に満ちたナルシストとオカマ。
怖すぎる。

「次の対決は味の美しさを競う、料理対決よ」
「ちょっ…対決って何だよ!」
「それがあーだこーだな事情で、この子達は勝負をしているの」
「フンフン成程…って分かるかい!」

神のノリツッコミが冴えてる間も、ナルヒコとハニーは睨みあう。
それを遮るかの様に、容子が間に入ってルール説明をする。

「ルールは簡単。酒の肴になる料理を作って、こちらの方をより喜ばせた方が勝ちよ」
「…けど、ソイツは誰ですか?」
「可愛い〜v」
「この方はポップン界の神・MZD様よ。ちなみにあなた達よりずっと年上」
「「マジska!」」

2人が驚くのも無理は無い。
神の容姿はどう見ても10代…身長も彼等より15cmは低い。

「そういう事なら喜んで協力するぜ。お前ら、美味い肴を食わせてくれよ?」
「「かしこまりました〜!!」」

ナルヒコとハニーはビビりながらも、厨房へと向かった。
そして30分後…(面倒なので調理シーンは割愛)

「出来上がりました〜v」
「僕も出来ました」
「それじゃあ早速テイスティングタイムよ」

某番組のパクりみたいな事を言いながら、容子は2人の料理を神に差し出した。

「こっちのは誰のだ?」
「私の料理ですわ」
「見た目綺麗だし…味もまあまあイケるな」
「ふふ、ありがとうございます」

笑顔で水餃子を口にする神を見て、ハニーは自分の勝利を確信した。
何故かというと…

「神様!僕の料理も食べて下さい」
「えーと…一応聞くけど、ソレ何?」
「つみれ汁です!」

ナルヒコのつみれ汁らしきモノは、とても料理と呼べる代物では無かった。
汁の色は紫色、同じ色の煙が上り、具は何故か動いている。

「ま、料理は見た目じゃ無いし…」

そう言いつつも神の表情は蒼白、勢いで具材Xを口の中に放り込んだ。

「どうですか?」
「んっ…以外とイケるぞ」
「本当ですか!」
「マジマジ!酸味と苦味のバランスがたまんねえ。超俺好み」
「あっ、ありえないわ…それともホントに美味しいのかしら」

ハニーは半信半疑で、神大絶賛の具材Xを口に入れた。

「げほっ…ちょっとナルヒコ!コレ、人間の食べ物じゃないわよ!!」
「でも神様は美味いっつってるし。容子さん、僕の勝ちですよね?」
「神様、それで良いかしら?」
「オールオッケー!おかわりちょうだい」
「よっしゃー!!」

ナルヒコがガッツポーズを入れる中、ハニーはコンクリの壁に拳をぶつけていた…






「今のところは1対1…次の対決で決まるわね」
「容子さん、次は何するんですか!?」

完全に熱血モードになっているハニーとナルヒコは、容子に次の勝負を要求した。
容子は暫く考えて、ステージの奥から1本のマイクスタンドを持ってきた。

「次の対決は声の美しさを競いましょう」
「歌唱力対決ですね。伊達に新宿の歌姫と呼ばれてないわよ…」
「歌声なら僕も負けないさ」
「ちょっと勘違いしないでよ。いくら美声対決でも、ただの美声対決じゃないわよ…名付けて、えろボイス対決!!」
「「えろボイス対決ぅ!?」」

説明しよう!
えろボイス対決とはマイクを挟んで向かい合い、相手の腰が砕けるまでえろい声を出し続けるという対決の事である。
ちなみに相手に触れると失格になるので気を付けよう!!

「…大体のルールは分かりましたわ」
「つまり、相手のポイントを付けば良いんですね」
「そういう事になるわね」
「長年女やってるんだもの、その私に落とせない男はいない!!」
「僕とハニーは付き合いが長いんだ。コイツの好みは知り尽くしている…」
「ハイハイ、両者向かい合って…よーい、ファイッ!」

戦いのドラが鳴らされ、店内にはピンクい空気が流れ出した。

「もうこんなになって…本当に恥ずかしい奴だな」
「そ、それは…アナタが触るから…!」
「僕に触れられるのがそんなに嫌?」
「嫌じゃないけど…恥ずかしい」
「今更恥ずかしがる事無いだろう…僕と君との仲だし」
「あっ…いやあっ…!」

「実況のサンパウロです。このえろボイス対決、大変加熱しています!解説の神様、いかがですか?」
「うーん、実にやらしい対決ですねえ。友人の鼻血野郎を呼べば良かった」

ハニーとナルヒコ―本人達よりも、周りの観客の方が盛り上がってきた。
中には慌ててトイレに駆け込む者が居る程だ。

そんな事を気にせず、勝負はますますエスカレートしてゆく。

「っ…もうそろそろ良いか…?」
「んっ…来て…」
「…力、抜いて」
「…あんっ…熱ぅ…やあっ!!」
「だから嫌じゃ無いくせに…身体みたいに、正直になったらどうだ」
「違っ…いやだもんっ…!」

注:2人は一切触れ合っていません。
それでここまでの演技は、もう流石としか言えない。

「神様ぁ…ワタシ、もう限界っ…!」
「俺も…悪いっ、ちょっと便所借りる!!」

実況席までもがKO寸前である。

「んあっ…めい、と…」
「春希…」
「ひゃあっ…めいと…めいとぉ…!!」
「くっ…春希っ…!」
「やあああんっ!!」

ばいーん…
堪えかねた容子がドラを鳴らした。
その音を聞いたナルヒコとハニーは、2人同時にしゃがみこむ。

「…だから本名を呼ぶのは反則だって、ハニー」
「そっちだって…おあいこじゃない」
「でも、なかなかやるじゃないか…」
「アナタもね…ふふ」

ふたりの あいだに ゆうじょうが めばえた!

燃え尽きている2人の前に、号泣した容子と神がやって来る。

「アナタ達…最高よっ!」
「まったくだ!お前等はふたりでひとつ…美の結晶だ」
「容子さん、神様…!」
「僕達は勘違いをしてました…僕達は2人揃ってこそ真の美を発揮出来るって事が分かりました」

そしてナルヒコとハニーは手を握りあって誓った。

「ハニー!ふたりで美の頂点に立とうじゃないか」
「ええ…世界を私達の色に染めあげましょう」

繁華街の片隅にある小さなクラブか、今沸き立った。




ナルヒコとハニーさんのコンビが好きです。
どうでも良いけど、当時鼻血野郎はまだお子ですね。



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