イーマ・デュオ



そもそもイーマを選んだのは僕だ。

先日拾ってきた黒猫・極卒くん(通称ごっくん)は、同居しているナルヒコさんばかりになついている。
美味しそうにキャットフードを食べるごっくんを撫でている彼を見て、僕は嫉妬の念を覚えた。

そこで昨日買い物に出た時の事を思い出す。

とあるスーパーのペットグッズ売り場にて。
僕とナルヒコさんは、ごっくん用のキャットフードを選んでいた。
僕はネットで評判になっていた、『イーマ・デュオ』を手にとった。

「ナルヒコさん、コレにしましょう」
「ええ〜!?ちょっと高くない?」
「そんな事無いですよ」

ナルヒコさんの反対を押し切って、僕はイーマを1箱買った。

それなのに君は彼ばかりになつく。

「みゃあお」
「ツクバさん、美味しいって」

ナルヒコさんの手に頬擦りをするごっくんを見たくなくて、僕は新聞で顔を覆った。

どうせ僕の愛なんか…
そうふてくされていると、フローリングに寝転がっていたごっくんが、僕の座っているソファーに上がってきた。
ごっくんは僕の上に乗り、胸の辺りに頬擦りをしてくる。

「みゃあ…みゃあお」
「ごっくん…!」
「みゃあ、うみゃあ」
「そうか…分かってくれてるのか」

―幸せが、ひとつになる
『イーマ・デュオ』




某キャットフードのCMパロ。
キャスティングは趣味です。



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