時の狭間年の狭間 時は大晦日、日付が変わりそうになる時刻。 此処は異次元、混沌渦巻く都の闇路。 細かく区切られた路を、その場に合わぬ、西洋風の紳士が練り歩く。 紳士は路地裏に潜む庵へと入っていった。 襖が開けられ、その先には眼を見開いた男が座っていた。 紳士はその男に近付き、傍に腰掛ける。 腰に手を回されてしまったその男は、眉間に皺を寄せつつ身をよじった。 紳士は自分の顔を男の顔に近付け、ニヤリと笑った。 「…相変わらず、そっけないな?」 「貴方は、何をしに此処に来たのですか」 「勿論、愛するお前と年越しを過ごそうとな。分かるだろう?」 「…分かりませんな。淀川殿、貴方はいつだって本当の事を口に出さない」 「口に出す必要があるのかね?」 「…ハア。もう諦めましたよ、好きにすれば良い」 「言われなくともそうするさ。なあ、淀」 「何でしょう」 「愛しているよ?」 「嘘ばっかり…っん」 除夜の鐘が響く中、淀川ジョルカエフはダース淀に深い口付けをした。 必死の抵抗も水の泡、ダース淀の力はみるみるうちに抜けていった― 「なんて事が有るから、ダース淀はお正月が嫌いだと思いますの」 「あ、アイコさん…相変わらず無茶苦茶な妄想ですわね」 「甘いですわよ、アンナさん!貴女も腐女子なら、これくらいの妄想をしないと!!」 「…遠慮しますわ」 |
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