気に喰わない その日の研究所は慌ただしかった。 ケンジと博士の話を盗み聞きしたら、どうやら明日サトシ達が此処に来るというのだ。 サトシというのは、昔ケンジとオレンジ諸島をしていた仲間で、ポケモンセンターマスターを目指している少年。 つい最近までホウエン地方を旅していたんだけど、(先日カントーでも放送されていた)ポケモンリーグホウエン大会にベスト8で敗退しちゃったから、一旦故 郷に帰って来るのだと思う。 …今また聞こえた話によると、今回はタケシやカスミの他に、ホウエン地方を旅した仲間も来るというのだという。 ホウエンで出会った仲間の事は、ケンジから聞いたことがある。 ハルカはジムリーダーの娘なのに、何故かポケモンコーディネーター(と言ってもどんな職業かは全然わからないけど)を目指しているらしい。 彼女の弟であるマサトは、ポケモントレーナーに憧れていて、サトシと旅する姉に引っ付いて来たという。 私はそのマサトという少年がどうも好きになれない気がするのだ。 ケンジが話す彼の印象はそんな悪いものじゃなかったし、はじめはむしろ好意を抱いていたはずだった。 あの日の会話を聞くまでは。 あの日と言うのは、今年のバレンタインの事。 その日の真夜中、ホウエン地方のポケモンセンターから電話が来ていた。 ケンジが応対をしていたのをこっそり覗いていたんだけれど、最後の方でとんでもない事が起きた。 電話の相手がケンジを好きだと言い、ケンジもその人の事を好きだと言ったのだ。 その電話の相手がマサトだった事は言うまでもない。 マサトが来たら間違い無くご主人をとられる。 だから私がケンジを守らなきゃいけないのだ。 ―あ、向こうから私を呼ぶ声が聞こえる。 そろそろ私も手伝わなくちゃ。 顔を上げ、愛しのご主人様と紫髪赤眼のガキとしわがれた緑のおっさんの元へと走っていった。 |
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